06.【PARC50周年記念講座】市民活動をアーカイブする:記憶と記録の継承・活用のために
¥ 5,000 - ¥ 30,000
一つのヒントは、多岐にわたる市民活動の記録と記憶の蓄積にあります。市民活動の成果はすぐに表れるものではありませんが、10~30年というスパンで軌跡を振り返った時、実は望んでいた社会へと軌道を変えるインパクトを及ぼしたとわかることもあります。またかつての反戦運動や消費者運動、労働運動等のゆたかな実践は、現在に活かせる原則と方法論を私たちに教えてくれます。さらには市民活動を担う人たち自身が、組織の意義に気づき、仲間を増やし発信力を高めるようエンパワメントされることにもつながります。国家や企業によらない、市民の目線での活動記録をアーカイブ化し、社会に向け可視化することは、これまで以上に重要です。
この講座では、市民活動のアーカイブ化の重要性を広く講義編で学び、実践編では、アーカイブ化の方法を実際に手を動かしながら習得していきます。市民活動の実践者はもちろん、アーカイブの方法に関心のある方向けの実践講座です。
※この講座は2023年のPARC設立50周年にむけて、自らの活動の記録を後世に伝えるためのプロジェクトの一環として開催します。
◎協力:立教大学共生社会研究センター
立教大学共生社会研究センターは国内外の多種多様な市民活動の記録を収集・保管・公開するアーカイブズ。所蔵資料には1960年代・70年代を中心とした市民活動の一次資料やミニコミ類に加えて、海外の市民活動資料や市民活動と深く関わった鶴見良行氏・宇井純氏の研究資料など。
●受講料:
【コース1】講義編+実践編:20,000円〈U25割:5,000円〉
【コース2】講義編のみ:10,000円〈U25割:5,000円〉
※初めて自由学校連続講座を受講される方は別途入学金10,000円が必要となります。
※【若者応援!U25割】25歳以下の方は受講料5,000円、入学金免除で受講いただけます。該当する方は、お申し込みの際「25歳以下」を選択してください。
《申し込み方法》
下記にて【コース】・【連続講座受講経験】、【一般/25歳以下】をそれぞれ選択し「申し込みリストに追加する」ボタンを押した後、ページ右上のカートアイコンをクリックすると申し込み画面に進みます。
※講座の詳細は、お申し込み・入金まで完了された方に開講日2週間前頃になりましたらご案内いたします。
※当日参加が前提ですが、後日の録画共有も予定しています。ただし、講師の事情等によって録画の一部または全部の共有ができない場合もあります
●コーディネーター
高木恒一(立教大学社会学部教授/共生社会研究センター長)
○メッセージ:
これまで数多くの取り組みがされてきた市民活動の記録を収集・保存し、次世代に継承してくことの重要性は高まっていますが、その記録は意外なほど残されていません。未来に向けて、私たちの活動の記録を残し、伝えるためにはどうすればよいか。講義と実践の2つの側面から、この課題に取り組みたいと思います。
○プロフィール:
専門は都市社会学。都市政策や都市の市民・住民運動について研究する一方、共生社会研究センターの運営にも携わる。主著に『都市住宅政策と社会―空間構造:東京圏を事例として』(立教大学出版会 2012)。
●講座プログラム
《講義編》
●2022年5~6月 ●金曜日19:00~21:00 ●全4回 ●開催形式:オンライン(zoom)
5/13(金)19:00~21:00
総論:現代社会と記録・記憶
この講座の趣旨と意義を考える。市民の記憶と記録を残すことを実践しているwamの取り組みと、PARCが取り組もうとしている事業を紹介し、これを手がかりにこの講座の方向性を検討する。
平野 泉(立教大学共生社会研究センターアーキビスト)
○著書:『レコード・マネジメント・ハンドブック─記録管理・アーカイブズ管理のための』(共編訳)日外アソシエーツ 2016
○参考文献:平野泉「『デジタルをおそれずに』―電子記録の保存に関する2つの取り組み」『アーカイブズ学研究』33巻 日本アーカイブズ学会 2020/平野泉「市民運動の記録を考える:アーキビストの視点から」『社会文化研究』18巻 日本アーカイブズ学会 2016
渡辺美奈(アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam) 運営責任者)
○著書:『「村山・河野談話」見直しの錯誤―歴史認識と「慰安婦」問題をめぐって』(共著)かもがわ出版 2013
○参考サイト:wam日本軍慰安所マップウェブサイト
内田聖子(PARC)
高木恒一(立教大学社会学部 教授/共生社会研究センター長)
【特別オープン講座】
5/20(金)19:00~21:00(予定)
現代日本政治のなかの記録:公文書問題を中心に
金平茂紀(ジャーナリスト)
森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題では、改ざんを強いられた近畿財務局の赤木俊夫さんが自死に追い込まれた。国土交通省の統計不正、「桜を見る会」での記録廃棄・・・政府によるずさんな管理の例が後を絶たない。なぜ政府はここまで堕ちてしまったのか。近年多発する問題の構造と政治の問題について、第一線で活躍するジャーナリストの金平茂紀さんにお話しいただきます。
( ※特別オープン講座のため、この回のみ参加される一般参加者との合同受講となります)
5/27(金)19:00~21:00
歴史を学ぶことと記録:日本軍「慰安婦」問題と歴史修正主義
小野沢あかね(立教大学文学部 教授/共生社会研究センター運営委員)
「慰安婦」問題に関する歴史修正主義の特徴はどこにあるか、史料に依拠するとはどういうことか、なぜ歴史修正主義が人々に受け入れられてしまうのかをお話しいただく。
○主著:『近代日本社会と公娼制度―民衆史と国際関係史の視点から』吉川弘文館 2010/『性暴力被害を聴く―「慰安婦」から現代の性搾取へ』(共編著)岩波書店 2020
○参考文献:西野瑠美子・金富子・小野沢あかね責任編集(「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター編)『「慰安婦」バッシングを越えて―「河野談話」と日本の責任』大月書店 2013/小野沢あかね「芸妓・娼妓・酌婦から見た戦時体制―日本人『慰安婦』問題とは何か」歴史学研究会・日本史研究会編『「慰安婦」問題を/から考える』岩波書店 2014
6/3(金)19:00~21:00
記録・記憶を活かす:公害資料館ネットワークの取り組みから
林 美帆(公益財団法人水島地域環境再生財団(みずしま財団)研究員)
公害の記録と記憶を継承する公害資料館は多様な形で設立されており、個々の館の活動が積み重ねられている。市民活動の資料・記録の収集・保存とその活用の実践例を紹介いただく。
○主著:『公害スタディーズ 悶え、哀しみ、闘い、語りつぐ』(共編著)ころから 2021/『西淀川公害の40年―維持可能な環境都市をめざして』(共編著)ミネルヴァ書房 2013
《実践編》
●2022年6~7月 ●木曜日15:00~17:00 ●全4回 ●定員:20名
●開催形式:対面(PARC自由学校教室)またはオンライン(zoom)の選択制
※実践編は講義編の議論を踏まえた内容になります。(講義編開始後に申し込まれる方は、PARC事務局へご相談ください。)
※実践編ではご自分が所属する団体やグループ、あるいはご自分のアーカイブズ資料を素材とします。手元に使用可能な素材がない方は、PARCのアーカイブ用資料をご利用いただけます。
●講師:
平野 泉(立教大学共生社会研究センターアーキビスト)
6/16(木)15:00~17:00
アーカイブズとは何か
「アーカイブズ」に関する様々な概念、基本的な考え方や手法について学ぶ。
◎次回までの課題:自分が所属する団体やグループの、あるいは自分自身のアーカイブズの全体像を把握してリストにする。
6/30(木)15:00~17:00
私たちの活動を記録する:何を残すべきか(評価・選別、保存期間設定)
活動の記録はすべてを残せるわけではない。何をいつまで保存するのか、保存期間が終了した記録をどう処分するのかを決めるプロセスについて考える。
◎次回までの課題:1回目の課題で作ったリストをバージョンアップして「リテンション・スケジュール」(保存期間と処分方法を記載したリスト)にする。
7/14(木)15:00~17:00
誰でも探せるアーカイブズ:目録の作り方(編成・記述)
記録は保存しているだけでは使えない。記録をぱっと見つけて、どんどん使えるようにするための検索手段について、みんなで手を動かしながら考えていく。
◎次回までの課題:前回の課題で作成したリストをさらにバージョンアップし、誰でも目的の資料にたどり着ける「検索手段」にする。
7/28(木)15:00~17:00
アーカイブズを市民社会のコモンズに:誰に、どこまで、どのように利用提供するのか、できるのか
前回の課題として作成した「検索手段」を手がかりに、利用条件やルール、閲覧のためのスペース、個人情報や著作権の問題、デジタル化の手順やオンライン公開のリスクとベネフィットなどの点について、それぞれの現場の状況に合わせて考えていく。
★オプション企画(予定)
立教大学共生社会研究センターへの訪問等、オプションツアーも企画中!
※コロナの状況を見て可能であれば開催します。詳細が決まりましたら、PARC自由学校ウェブサイトや本講座内でご案内します。
●PARCは1973年に設立され、2023年に50周年を迎えます。記念事業の詳細や記念基金への寄付については特設サイト(現在準備中)でご案内しますので、今しばらくお待ちください。