01.ポスト新自由主義:”ブルシット・ジョブ”からケアと連帯による世界へ

01.ポスト新自由主義:”ブルシット・ジョブ”からケアと連帯による世界へ

¥ 5,000 - ¥ 25,000
1980年代以降、新自由主義に基づく市場経済、規制緩和、自由貿易がさらに拡大し、その弊害としての格差や地域経済の衰退は世界各国・各地でますます深刻になっています。また、経済のグローバリゼーションへの反作用としての極右勢力や権威主義的な政治の台頭も起こっています。こうした中、多くの国で「新自由主義の失敗」が認識され、大きな方向転換をめざし政権交代が実現した国もあります。日本でも各所で「新自由主義からの脱却」が論じられる中、私たちの暮らしや社会にとっての糸口はどこにあるのでしょうか。この講座では、新自由主義を乗り越える視点として「労働・ケア・コミュニティ」を柱にし、世界の運動最前線から学び、考えます。

2022年7月~11月(予定)
金曜日 19:00~21:00
●開催形式:オンライン(zoom)
●全9回●受講料:15,000円〈U25割:5,000円〉

※初めて自由学校連続講座を受講される方は別途入学金10,000円が必要となります。
※【若者応援!U25割】25歳以下の方は受講料5,000円、入学金免除で受講いただけます。該当する方は、お申し込みの際「U25(25歳以下)」を選択してください。

《申し込み方法》
下記にて【連続講座受講経験】、【一般/25歳以下】をそれぞれ選択し「申し込みリストに追加する」ボタンを押した後、ページ右上のカートアイコンをクリックすると申し込み画面に進みます。

※講座の詳細は、お申し込み・入金まで完了された方に開講日2週間前頃になりましたらご案内いたします。
※当日参加が前提ですが、後日の録画共有も予定しています。ただし、講師の事情等によって録画の一部または全部の共有ができない場合もありますことをあらかじめご了承ください。
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詳細情報

●コーディネーター:

内田聖子(PARC共同代表)


○プロフィール:

自由貿易・投資協定のウォッチと提言、デジタル経済政策に関する提言活動を行う。編著に『自由貿易は私たちを幸せにするのか?』コモンズ 2017/『コロナ危機と未来の選択̶パンデミック・格差・気候危機への市民社会の提言』(コモンズ 2021)など。

 

●講座プログラム:

7月15日(金)【補講日程:11月25日(金)19ー21時】
資本主義の「限界」と「日常的ネオリベラリズム」-“クソどうでもいい仕事”はなぜ増える?

2020年に亡くなったデヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』が日本でも話題となっています。本書の翻訳者でもあり、グレーバーの友人でもあった酒井隆史さん、経済思想史の観点から新自由主義を批判的に考察する中山智香子さんのお二人に、日常にはびこるネオリベラリズムとブルシット・ジョブについて語っていただきます。

酒井隆史(大阪府立大学教授)

〇主著:『通天閣 新・日本資本主義発達史』青土社 2011/『暴力の哲学』河出文庫 2016
〇参考文献:デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ―クソどうでもいい仕事の理論』(共訳)岩波書店 2020

中山智香子(東京外国語大学教授、PARC理事)

〇主著:『経済学の堕落を撃つ―「自由」vs「正義」の経済思想史』講談社現代新書 2020/『経済ジェノサイド: フリードマンと世界経済の半世紀』 平凡社新書 2013

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7月22日(金)
新自由主義は、チリから始まり、チリで終わる―中南米で続く左派新政権と社会運動の50年

松下 冽(立命館大学名誉教授)

今日、「資本主義の終焉」や「人類の危機」いった言説が一定の言論空間で拡がっている。では、われわれは新自由主義時代の終わりを迎えているのであろうか?「われわれは今どこにいるのか、何を目指して、どこに向っているのか?」、皆さんと考えたい。

〇主著:『現代メキシコの国家と政治──グローバル化と市民社会の交差から──』御茶の水書房 2010/『グローバル・サウスにおける重層的ガヴァナンス構築──参加・民主主義・社会運動──』ミネルヴァ書房 2012
〇参考文献:松下冽『ラテンアメリカ研究入門──<抵抗するグローバル・サウス>のアジェンダ』法律文化社 2019/ウイリアム I. ロビンソン著、松下冽監訳 太田和宏・岩佐卓也・山根健至翻訳『グローバル警察国家』花伝社 2021

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8月6日(土)13:00~15:00
パンデミック監視資本主義に抗う―デジタル・リテラシーとデジタル権

小笠原みどり(ジャーナリスト、社会学者(カナダ・ビクトリア大学教員))

パンデミックを機に、オンラインでのコミュニケーションやショッピングが推奨されていますが、インターネットは資本のための監視の場でもあります。デジタル監視の内実と、情報への権利を考えます。

〇主著:『スノーデン・ファイル徹底検証』毎日新聞出版 2019/『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』毎日新聞出版 2016
〇参考文献:ショシャナ・ズボフ『監視資本主義』東洋経済新報社 2021/マルク・デュガン、クリストフ・ラベ『ビッグデータという独裁者』筑摩書房 2017

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9月2日 (金)
米国における変革への力―BLMとコミュニティから生まれる労働運動

菅 俊治(弁護士)
アメリカにおける住民運動や労働運動の作り方、オーガナイザーの育成、社会主義組織の世代承継の状況と教訓を学ぶ。

〇主著:『職場を変える秘密のレシピ47』(監訳)日本労働弁護団 2018/『世界を変える変革の力−ブラックライブズマター共同代表からのメッセージ』(翻訳)明石書店 2021

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9月30日(金)
資本主義的食料システムのカラクリを理解し乗り越える

平賀 緑(京都橘大学経済学部准教授)

現在の工業的農業・食料システムは地球も人も壊しているという。同じ資本主義のカラクリで持続可能な社会を実現できるのか?そもそも「生命の糧」を市場に組み込んだ過程から見直したい。

〇主著:『食べものから学ぶ世界史--人も自然も壊さない経済とは?』岩波ジュニア新書 2021/
『植物油の政治経済学--大豆と油から考える資本主義的食料システム』昭和堂 2019
〇参考文献・サイト:

Holt-Giménez, E. A Foodie's Guide to Capitalism: Understanding the Political Economy of What We Eat, Monthly Review Press, 2017/CORE Projects, The Economy,(経済学のオンライン教育プロジェクト)
 

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10月7日(金)
プラットフォーム・エコノミーの罠―ビッグ・テックと闘う世界のギグ・ワーカー

浦田 誠(国際運輸労連(ITF)政策部長)

「よかったのは最初だけ」。ギグワーカーが憤るプラットフォーム・エコノミーの実態とは。世界を席巻したタクシー労働者のライドシェア反対運動から10年。今なにが起きているのか。

〇主著:“Building Rank and File Activism: A Study of the Global Action Day Campaign in the History of the International Transport Workers’ Federation” for Global Restructuring, Labour and the Challenges for Transnational Solidarity (Rethinking Globalizations) – Routledge, 2010
〇参考文献:「論考-食事配達員の国際労働運動と労働者性をめぐる海外の判例動向(前後編)」『労働者の権利』338号(2020年11月)および340号(2021年4月)日本労働弁護団/「ライドシェアをめぐる世界各地の動向」『Int'lecowk』2019年7月号 国際経済労働研究所 

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10月21日(金)
欧州の地域主義(ミュニシパリズム)運動―コミュニティを強くするケア、トランジッション、公コモンズ連携

岸本聡子(トランスナショナル研究所(TNI)経済正義プログラム、オルタナティブ公共政策プロジェクト研究員)

少し硬い言い方をすると民主的で協同的な公的所有と統治、サービス、政策の共同生産の在り方をケア、労働、エネルギー、住宅、水の具体的な事例から考えます。地域と労働者を搾取する経済モデルと決別し、地域のWELL-BEINGを高める実践へ。

〇主著:『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』集英社新書 2020/「ミュニシパリズム(地域自治主義)がひらく世界」『コロナ危機と未来の選択』コモンズ 2021
〇参考文献:『Democratic and collective ownership of public goods and services
Exploring public-community collaborations』Transnational Institute 2021

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11月4日(金)
ケアと連帯の論理―新自由主義を乗り越える民主主義の構想

岡野八代(同志社大学教授)

付加価値を追い求める資本主義経済のもとで、ケアは不当に低く評価されてきました。ケアの価値は市場では決まらず、政治的な討論を通じて公的に決めなければなりません。「誰もがケアされて生きている」という事実に立ち、私たちに必要な理論と実践をお話いただきます。

〇主著:『ケアするのは誰か? 新しい民主主義のかたちへ』(共著・訳)白澤社 2020
〇参考文献:ケア・コレクティヴ『ケア宣言 : 相互依存の政治へ』大月書店 2021
 

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【特別オープン講座】

12月16日(金)
脱グローバリズム時代への転換期—国家・地域・民主主義

柴山桂太(京都大学大学院人間・環境学研究科 准教授)

グローバリズムが民主主義を空洞化させ、国内の利害調整が機能せず、国際政治・社会そして人びとの間に深刻な歪みと分断を引き起こしている。この状況を打開するためのキーワードは、「国家・地域・民主主義」。世界の潮流と日本の現状をつなぎ、目指すべき方向を考える。 

( ※特別オープン講座のため、この回のみ参加される一般参加者との合同受講となります)

〇主著:『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』(共著)集英社新書 2017/『静かなる大恐慌』集英社新書 2012